入れ歯・義歯について
入れ歯（義歯）は、失った歯を人工の歯で補う方法の一つです。入れ歯には健康保険適用のものと自費診療のものがあります。また、入れ歯は部分入れ歯（部分義歯）と総入れ歯（総義歯）があり、部分的に歯を失った場合は部分入れ歯、全ての歯を失った場合は総入れ歯を使用します。
総入れ歯（総義歯）とは
総入れ歯（総義歯）はフルデンチャーとも呼ばれ、上下顎の全ての歯を失った場合に使用されます。総入れ歯は人工歯と、歯ぐきに見えるアクリル樹脂製の土台（義歯床）で構成され、粘膜の吸着力で維持されます。全ての歯を失った場合には、インプラントと併用することもあります。
部分入れ歯（部分義歯）とは
部分入れ歯（部分義歯）は、1本から数本の歯を失った部分に使用されます。人工歯のついた床（義歯床）を残っている歯にバネ（クラスプ）やレストで固定して支えます。残っている歯が1本でも可能です。適切な設計で治療を行うことで、食べ物をしっかり噛み、長期間維持できる治療法です。部分入れ歯にはインプラントを併用する治療もあります。
１本歯が抜けたくらい大丈夫だと思っていませんか？
むし歯や事故などで歯を失った場合、そのまま放置してしまう方がいらっしゃいます。「型取りに何度も通わなければならない」「治療費がかかる」「痛みや腫れがない」などの理由で、治療を避けている方もいるかもしれません。しかし、口腔内の健康は多くの要因によって支えられており、歯を1本失うだけでもバランスが崩れ、さまざまな悪影響が出る可能性があります。
歯を抜けたままの状態を放置するリスク
歯は1本1本が大切な役割を果たしています。そのため、1本でも失うと、見た目や噛み合わせに悪影響を及ぼします。歯を失った場合は早急に治療を受け、健康な口腔機能を取り戻しましょう。
歯の機能への影響
- しっかりと食べ物が噛めなくなる
- むし歯や歯周病のリスクが高まる
- 口臭のリスクが増加
- 歯が折れやすくなる
見た目（審美面）の影響
- 歯並びが悪化する
- 咬み合わせが乱れ、顔の形が変わる
- 老けて見られる
- 歯茎が下がる
毎日の生活での影響
- 認知症のリスクが高まる
- 力が十分に入らなくなる
- 咀嚼機能が低下し、胃腸に負担がかかる
- 慢性的な肩こり・腰痛のリスクが増加
- 発音に影響が出る
当院で扱っている入れ歯の種類
保険適用の入れ歯
レジン床
レジン床はプラスチックで作られた入れ歯で、保険適用の治療ではレジンのみが選択可能です。保険適用のため、どの歯科医院でも費用は同じで、3割負担で約1万〜1万5千円程度です。レジンは費用が抑えられ、修理や調整がしやすいのがメリットです。
しかし、レジンは強度が低いため、入れ歯自体を厚くする必要があります。そのため、慣れるまではしゃべりにくさや異物感を感じることがあります。特に上顎の総入れ歯は、食べ物の温度を感じにくく、嘔吐反射がある方は注意が必要です。
自費の入れ歯
ノンクラスプデンチャー
ノンクラスプデンチャーは、金属製のワイヤーを使わない入れ歯です。歯ぐきの色を模した特殊な樹脂で作られており、見た目が自然で、つけ心地も快適です。この素材は弾力があり、割れる心配が少なく、薄く作れるため、違和感が少ないです。軽量で、従来の入れ歯の半分の重さです。1〜3本程度の歯の欠損であれば、噛む力にも問題ありません。金属が見えることを避けたい方や、金属アレルギーの方におすすめです。
金属床義歯
金属床義歯は、顎を覆う部分に金属を使用することで、入れ歯の厚みを抑え、違和感を減らした入れ歯です。保険適用のレジン床義歯に比べて非常に薄く、会話や発音に支障が少ないです。金属の熱伝導性により、食べ物や飲み物の温度を直接感じることができ、美味しく食事を楽しむことができます。外から見えにくい部分に金属を使うため、見た目にも配慮された設計です。